修理カルテ

ROREX

● デイトジャスト レディースモデル キャリパー2235

 

長野市 T様からのご依頼品です。

リューズの収まりが悪くなり、時間合わせが出来なくなってしまったようで、オーバーホールも兼ねての修理ご依頼を頂きました。

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シルバーケースにブルー文字盤が映えますね。

リューズがおかしいとのことです。
早速分解して原因究明してみましょう。

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裏蓋を外しました。
コンパクトにまとめられたムーブメントが見えますね。

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ケースからムーブメントを外していきます。 画像では分かり難いのですが、MEN’sに
比べるとかなり小さいです。

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文字盤下に原因個所がありました。
リューズ抑えの凸部分が折れてしまっています。 緑○の部分です。
この凸部でリューズの引っ張り位置を変えます。
これでは、時間合わせが出来なくなってしまっていますね。

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通常は右画像のようになっているはずですが、 左画像は凸部が無く、リューズの
固定も出来ていません。

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さて、今回破損のリューズ押さえ凸の裏側(ムーブメント側)には、
ハックと呼ばれるテンプを止める機構がついています。
時間を合わせる時にリューズを引っ張ると秒針が止まるのは、
この機構があるのためですが、リューズ位置を固定するために
ハック機構は外してしまいます。

※何故ハック機構を外してしまうかは画像10にて。。。

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ゼンマイ(香箱内)の油も無くなっていましたので、 OHの時期だったのでしょうか?

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全分解画像です。
これからひとつひとつの部品を洗浄して組み立てていきます。

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ムーブメントの組み上げ画像です。 型が小さいので歯車や香箱のレイアウトが
男性用とは少し違いますね。

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さて、問題の故障個所ですが、 緑○の部分を下から打ち出しました。
こうすることで、リューズの3段階押えが可能になります。
但し、打ち出した分ハック機構の取り付けが出来なくなります。

このハック機構(画像6)ですが、金色の針のようなものをテンプに押し当てて動作を止めますので、天輪軸(テンプ軸)に無理が掛かります。MEN'Sモデルのようにある程度の大きさや
軸の太さが保てるものなら良いと思いますが、LADY'Sのように小さく細い軸のものは変形や破損の元になってしまうのではと考え、依頼主様と相談のうえハック機構を取り去ることにしました。

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文字盤側の組み上げ画像です。 リューズ押さえの凸部もしっかりと出ています。

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自動巻き機構の分解画像と組み上げ画像です。 赤い歯車が象徴的ですね。

 

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文字盤と各針の取り付けです。 ケースサファイアガラスの王冠マークも撮影してみました。
極小なので肉眼で見るのはつらいかも・・・。

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最後に遅進調整ですが、ロレックスはテンプの内側のネジ(チラネジと呼ばれる)で
調整します。

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修理完了です。

掲載が遅くなってしまい申し訳ございませんでした。

ありがとうございました。