修理カルテ

掛時計

● セストーマス(SETH THOMAS)

N市 Y様からのご依頼品
かなり年代ものの時計です。 現存する国内最古級のボンボン時計もセス・トーマスといわれているほどです。

これは明治時代(1868年~)くらいなのでしょうか?
機械刻印や振子室ラベルもある完品です。 かなり珍しいのではないでしょうか?
現状は全く動かなくなってしまったようで・・・
折角の名品!腕がなります。。。

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セストーマス外枠です。
この年代で残っていることが珍しいですね。このままのディテールが良いですね

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文字盤は多少汚れや擦り傷がありますが、風格を感じますね。

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振子室ラベルです。
殆ど残っていないのですが、Yさまのセストーマスは綺麗に残っています。ボン針台にもセス・トーマスの文字が。これらはとても貴重です。

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昔ながらの振子とゼンマイカギです。 これといった装飾もないのですが、良いですね。

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アメリカ製の機械は違いますね。作りもしっかりしてます。
3番車を大きくした独特の機械です。
地板の刻印 「S THOMAS PLYMOUTH CONN USA 8 1/4」もしっかりと見えますね。この刻印と振子室ラベルが大事ですね。

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緑丸の中に故障の原因がありました。

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振りバネと言われる部分ですが、鋼棒を薄くバネ状に伸ばしたものです。
この棒の先に振子が掛けてあるのですが、非常に繊細で薄い部分なので、折れてしまったようです。

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新しく『振りバネ』を作りました。
丈夫で振り幅が出るようにと苦労しました。

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長さを調節するためにリング(手製)で固定してあります。
バネも現在のものを採用しています。

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機械を固定しているネジの穴もかなり緩く空回りしていましたので、1度接着剤で穴埋めして、新しいネジで固定します。

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このまま振り具合をみます。
振り過ぎても足りなくても『刻』になりません。調整に時間が掛かってしまいました。

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完成です。
カチコチと良い音を響かせています。外装の修繕という話もあったのですが、ここまで綺麗に残っているのでしたら・・・ と、私どものたっての希望により今回は何も手を加えませんでした。今の質感を残すことが大事だと思います。貴重品を見せて頂き、手を加えさせ
て頂いた事、光栄に思います。
大切になさって下さい。ありがとうございました。