修理カルテ

置時計

● スミス置時計

九州地方のF様からご依頼品です。
「スミス置時計」です。
かなり遠方よりお送り頂きました。 ありがとうございます。

ゼンマイが巻けなくなってしまったようです。

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長旅お疲れ様でした。
しっかりと梱包頂きまして恐縮です。早速修理に取り掛かります。


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キレイですね。
とても何十年も前の時計とは思えない程です。外観がココまでキレイなものはあまり無いでしょうね。。。
分解して故障箇所を見つけましょう。

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今回お送り頂いた全品です。
振子やゼンマイカギも趣きがありますね。

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ムーブメントと取り出しました。
地板(歯車やゼンマイを前後で押えている板)も厚くしっかりとした作りです。

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通常文字盤などは日焼けしたりしてしまうのですが、F様のスミスはキレイですね。。。

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ムーブメント前後画像です。
左側が文字盤側で右側が裏面です。さて何処が故障してるのでしょか???

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ゼンマイが逆転しないようにストッパーがついています。コチラ側が鳴りの方のゼンマイです。

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コチラが動作側のゼンマイストッパー画像です。
どうやらココに故障があったようですね。

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ストッパー部分を拡大してみました。
ストッパーの板バネが折れてしまっていますね。 これではゼンマイが巻けないので時計も動きませんね。。。

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ムーブメントの全体画像です。
写真では分かり難いのですが、全体的に頑丈に作ってあります。長持ちの秘訣はココにあるのでしょうね。。。

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既存の折れた板バネを利用して新たにバネを作ります。
従来の方法ではまた折れてしまうので、新方式を考えました。

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棒バネを3本まとめたものをストッパー部分に掘った溝にあてて、頑丈な新バネを作りました。
この方法でしたらバネが折れることは無いでしょう!

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分解掃除後遅進の調子をみるために様子を見ます。
ムーブメントの調子は悪くないようですが・・・

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遅進調整ご汚れを落として、返送準備をします。
頑固な汚れはコンパウンドで磨きを掛けます。

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梱包にはクッションを使い各部分を固定します。
特にF様は遠方のため通常よりも気を遣いましたが無事に到着したようで安心しました。

ありがとうございました。